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最終更新日:2020年05月28日 17:33

映画館の新型コロナウイルス感染予防対策、全興連の副会長が“3密”軸に説明

本日5月28日、映画館の営業に関する会見が東京・全国生衛会館で行われ、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)の副会長である佐々木伸一が出席した。

佐々木伸一

全興連は生衛法にもとづき組織された、各都道府県の生活衛生同業組合によって構成される唯一の団体。公式サイトには、新型コロナウイルス感染拡大予防として映画館が実施すべき事項をまとめたガイドラインが掲載されている。このガイドラインには感染防止のための基本的な考え方や施設管理者が行うべき対策が記述されており、本日の会見では佐々木がより具体的に映画館でどんな施策が講じられているのかを話した。

まず佐々木は密閉、密集、密接という“3密”を軸に現状を解説。「映画館は興行場法の認可のもと営業されております。一般的に床面積1平方メートルごとに毎時75立方メートル以上の換気が必要という目安があり、それをもとに各都道府県が基準を設けている。例えば東京は空調が入っていれば毎時25立方メートル以上に緩和されます。換気の基準がない地方もあるのですが、同等の換気ができていなければ空気環境測定の基準に耐えられないよう映画館は設計されています」と映画館が密閉空間ではないことを強調する。

密集の対策としては、当面は前後左右の席を空けて営業することを挙げ「最大でも50%の座席しか販売しません。当然ながら、列に並んでいただくときやチケット購入時のソーシャルディスタンスの確保は徹底します」と説明。密接については「当面の間は舞台挨拶や応援上映など、飛沫感染につながるような上映会はいたしません」と予防策を伝えた。

佐々木は、映画館への入場は五月雨式であることが多い一方、退場時は密接になり得ると話す。「列ごとの退席など工夫はしますが、今までは20分でできていたことに40分かかるといったことが起こる。なので上映回数は減ります」と感染対策による影響に言及。感染拡大を予防したうえで営業することを第1歩としつつ、「ワクチンの開発状況などを見ながら、少しずつ戻していくしかない」と今後について述べる。

東京都が策定した休業要請の緩和に関するロードマップにおいて、美術館や博物館は「都民の文化的・健康的な生活を維持するうえで必要性が高い施設」というステップ1に位置付けられているが、映画館は「クラスター発生歴がなく、3つの密が重なりにくい施設」というステップ2に評定されている。佐々木は「当然ながら我々は、映画館は『都民の文化的・健康的な生活を維持する上で必要性が高い施設』だと思っております。行政が文化的に必要かどうかを判断するのは、残念なことだなと。それは1人ひとりの問題だと思いますので。ですので、ここは抗議をいたしました。美術館や博物館と映画館の感染リスクはどう異なるのかという点においては、東京都側も明確な基準はなかったというのが私の認識です。ステップ2の開始を早くするなど、我々の気持ちに応えていただいているのかなとは思いますが」と思いを吐露した。

続いて話題は映画業界全体の興収見込みへ。佐々木は「映画館は演劇や演芸に比べて、稼働率が低くても成り立つビジネスだと一般的に言われています。ただそれは土日の繁忙さがあってこそ。土日は70、80%の座席が埋まって、平日は20、30%ということもあるので、平均で見たときに40%だからと言って50%の座席使用率で大丈夫とはなりません。昔から興行の世界では、土日2日の売上と平日5日の売上がだいたいイーブンと言われているので」と、今後も続くと想定される厳しい状況に触れる。

日本映画製作者連盟によると、昨年2019年は興行収入2611億8000万円となり、統計が始まった2000年以降の最高記録を更新した。佐々木は「去年は動員も約1億9500万人で、今年こそは2億人と業界全体で機運が高まっていた。しかし5月は3月、4月以上に惨憺たるものになってしまうと思います。キャパシティ50%がいつまで続くかはともかく、ハイシーズンの7月、8月に向けて配給会社は新作を出していくので、今後需要の高まりは期待できます。ただ前年比50%など、相当厳しい結果を覚悟しなければいけないと思っています」と語る。

映画文化を守ることを大前提としながら、映画館文化も守っていかなければいけないと述べた佐々木。「既得権益を守りたいわけではなく、映像制作者へのリターンを最大化して映像の再生産をしていくためにも、映画館は重要だと考えています。なので映画館はインフラを整備して、映像制作の方々が無視されないようなマーケットを維持する必要があります」と説明した。

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