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最終更新日:2020年05月22日 20:33

諏訪敦彦らが文化支援の基金創立を要請、「何かが動いていく可能性」と希望感じる

文化芸術復興基金創設に関する省庁要請ならびに記者会見が、本日5月22日に東京・衆議院第一議員会館で行われた。

文化芸術復興基金創設に関する記者会見より、諏訪敦彦。

これは「SAVE the CINEMAプロジェクト」「演劇緊急支援プロジェクト」「SaveOurSpace」が連携して実施したもの。記者会見前に3団体は、3者統一要望書や署名を文化庁、文部科学省、経済産業省、厚生労働省に提出している。要望書には文化芸術団体が実施する公演や上映、ライブにともなう売上減少・経費増大に対して補填することなどを目的とした「文化芸術復興基金」創設を求める内容が記載された。また持続化給付金の継続や運用の柔軟化、さらに固定費に掛かる支出に対する給付型の支援も要請している。加えて、雇用調整助成金が早期に支給されるよう運用の是正と、各種制度においてフリーランスも対象とするよう制度の是正や柔軟化を求めた。

まず今回の協力体制を築いた経緯を、弁護士の馬奈木厳太郎が説明。各業界それぞれがさまざまな形で窮状を訴えてきたことを述べつつ、「文化の守り手であるべき文化庁が十分と言えるような支援をこれまで行ってきていない。各業界それぞれの力だけで乗り越えていくのが難しい現状を踏まえ、ジャンルを超えて“文化”というくくりで、ともに声を上げて行こうじゃないかと始まった」と語る。

詩森ろば

劇作家で演出家の詩森ろばは、今回設立を要請した「文化芸術復興基金」とは別に「文化芸術復興創造基金」が作られたことに触れ、後者の問題点を指摘。民間から寄付を募って行うものであることと、基金という名前にもかかわらず配り終われば助成金がなくなってしまうシステムであることを挙げて要請時に話をしたと言い、「とまどいながらも『変えていかないといけないのでは』というような意思を感じられた」とコメントした。30人以上の国会議員もその場を訪れていたことを前置き、「文化は必要だと熱い演説をしていただいた」「超党派でやっていただけていると実感しました」とも述懐する。

左から諏訪敦彦、北條誠人。

SAVE the CINEMAプロジェクトより参加したのは諏訪敦彦と、ユーロスペース支配人の北條誠人。諏訪はプロジェクトと連携したミニシアター・エイド基金の支援金が3億3000万円を超えたことに対して「日本のクラウドファンディング史上最高額を達成しました。こんなに映画館を必要としてくれる人がいるということが初めて可視化されました」と振り返る。

要請時の感触を「言葉の端々にこれまでとは違うニュアンスがあり、何かが動いていく可能性があるんじゃないかという希望を持ちました」と説明した諏訪。芸術文化は生きるために必要不可欠なものであると述べつつ、「今回要望している基金は官民一体となって、国費が拠出される点が大きなポイントです。国や文化庁として文化を大事にしているのであれば、具体的に金額として示してほしい」と訴えた。また文化支援のカテゴリーにはライブハウスやミニシアターが入っていないことも指摘。「ミニシアターの立場から言うと、芸術文化施設ですよ。芸術文化を支えているのだとはっきり認めてほしいです」と話した。

またフランスやヨーロッパで長く活動している諏訪に対しては、日本とフランスにおける文化への考え方の違いについて質問が飛ぶシーンも。「教育という観点からフランス社会を見ると、幼稚園から映画館で映画を観ることは学校単位で行われています。文化大臣は、フランスで教育において映画を扱う場合は、芸術として扱うと意思決定している」と言い、「ヨーロッパでも国によって違いますが、映画を芸術体験とする前提があります」と答えた。

本日、東京都から緊急事態宣言の緩和ステップが提示されたことに対して意見を求められたのは北條。「昨日までは6月1日から再開できるという心づもりでおりました」「今日になって、それがいつになるのかわからないなという戸惑いが出ています」と話す。また「100席の映画館であれば1つ2つ席の間を空けてチケットを販売しなければいけない。興行収入に関して言えば、3月から5月はほとんどなく、6月に再開してもどれだけの売り上げになるのかわからない」と吐露した。

渡辺えり

最後にマイクを握った渡辺えりは、「演劇によって命を救われた人間です。ミニシアターとライブハウスに育てられて、そして演劇によって65歳まで生きてくることができました」と述懐。「その恩返しを一生掛けてしたいと思っています」と真摯な思いを口にした。

なお本記者会見には演劇緊急支援プロジェクトより西川信廣、福島明夫、SaveOurSpaceよりスガナミユウ、加藤梅造が参加した。

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