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最終更新日:2020年05月15日 15:33

独立系配給会社が緊急プロジェクト発足、新旧名作を見放題パック配信

日本の独立系映画配給会社が「Help! The 映画配給会社プロジェクト」を立ち上げ、配給会社別の見放題配信パックを提供開始することが発表された。

「Help! The 映画配給会社プロジェクト」ロゴ(日本語)

「女は女である」 (c)1961 STUDIOCANAL – EURO International Films S.p.A.

新型コロナウィルス感染拡大の影響により小規模映画館を守ための「ミニシアター・エイド基金」などが発足される中、世界のさまざまな国や地域から映画を買い付け、日本の観客に届けてきた配給会社も苦境に立たされている。そこでキノローグ、クレストインターナショナル、ザジフィルムズ、サニーフィルム、セテラ・インターナショナル、チャイルド・フィルム、ミモザフィルムズ、ムヴィオラが発起人となり、そのほか数々の配給会社とともに本プロジェクトをスタートさせる。

「光の墓」 (c)Kick The Machine Films / Illuminations Films (Past Lives) / Anna Sanders Films / GeiBendorfer Film-und Fernsehproduktion /Match Factory Productions / Astro Shaw (2015)
「イタリアは呼んでいる」 (c)Trip Films Ltd 2014

「配給会社別 見放題配信パック」では、UPLINKが運営するオンラインシアター「アップリンク・クラウド」を配信サービスとして各配給会社が自社の過去作品をパックにして配信していく。第1弾は5月15日15時に配信開始。ジャン=リュック・ゴダール、ルキノ・ヴィスコンティ、ホン・サンス、ミア・ハンセン=ラヴらアジアやヨーロッパの作家のクラシック作品から近年の話題作まで、これまで未配信だったタイトルも含む90作品がラインナップに並ぶ。第2弾は5月22日15時に開始予定。詳しくはアップリンク・クラウド内の「Help! The 映画配給会社プロジェクト 配給会社別 見放題配信パック」ページで確認を。

上段左からクリストファー・ドイル、ギヨーム・ガリエンヌ、シャリファ・アマニ。中段左からアルノー・デプレシャン、LiLiCo、アピチャッポン・ウィーラセタクン。下段左からイザベル・コイシェ、ジュルジュ・ガショ、リティ・パン。

また、このたび世界の映画人から届いた応援動画メッセージもYouTubeで公開された。アルノー・デプレシャン、アピチャッポン・ウィーラセタクン、瀬々敬久、ワン・ビンら38名・20地域から支援の声が寄せられた。

独立系配給会社は収益の多くを映画館収入から得ており、その収益から製作者に還元することで新たな作品が生まれるための一助を担ってきた。プロジェクトの発足にあたり、配給会社は連名で「私たちの財産は、映画しかありません。世界の多様な映画です。配信で、そうした多様な映画を見てもらうことで観客の力を借り、この難局を乗り越えたいと思うのです。配信は過去作に限り、あくまで新作は映画館で公開してミニシアター映画館の収益を確保しながら、過去作の配信によって少しでも経営を安定させ、映画館や仕事仲間達と築いてきたこの事業の継続を目指したいと考えています」とつづっている。

Help! The 映画配給会社プロジェクト「配給会社別 見放題配信パック」第1弾配信作品

クレストインターナショナル(3カ月・税込2480円)

01. 「ピクニック」ジャン・ルノワール
02. 「愛して飲んで歌って」アラン・レネ
03. 「アンジェリカの微笑み」マノエル・ド・オリヴェイラ
04. 「未来よ こんにちは」ミア・ハンセン=ラブ
05. 「めぐりあう日」ウニー・ルコント
06. 「いとしきエブリデイ」マイケル・ウィンターボトム
07. 「イタリアは呼んでいる」マイケル・ウィンターボトム
08. 「嘆きのピエタ」キム・ギドク
09. 「それから」ホン・サンス
10. 「夜の浜辺でひとり」ホン・サンス
11. 「正しい日 間違えた日」ホン・サンス
12. 「クレアのカメラ」ホン・サンス

ザジフィルムズ(3カ月・税込2980円)

01. 「女は女である」ジャン=リュック・ゴダール
02. 「女と男のいる舗道 ジャン=リュック・ゴダール
03. 「ゴダールのマリア」ジャン=リュック・ゴダール
04. 「5時から7時までのクレオ」アニエス・ヴァルダ
05. 「幸福 しあわせ」アニエス・ヴァルダ
06. 「ジャック・ドゥミの少年期」アニエス・ヴァルダ
07. 「ローラ」ジャック・ドゥミ
08. 「天使の入江」ジャック・ドゥミ
09. 「不滅の女」アラン・ロブ=グリエ
10. 「ヨーロッパ横断特急」アラン・ロブ=グリエ
11. 「嘘をつく男」アラン・ロブ=グリエ
12. 「エデン、その後」アラン・ロブ=グリエ
13. 「快楽の漸進的横滑り」アラン・ロブ=グリエ
14. 「囚われの美女 アラン・ロブ=グリエ
15. 「魔術師」イングマール・ベルイマン
16. 「仮面 ペルソナ」イングマール・ベルイマン
17. 「叫びとささやき」イングマール・ベルイマン
18. 「夏の嵐」ルキノ・ヴィスコンティ
19. 「家族の肖像」ルキノ・ヴィスコンティ
20. 「ロゴパグ」ピエル・パオロ・パゾリーニ / ジャン=リュック・ゴダール / ロベルト・ロッセリーニほか
21. 「豚小屋」ピエル・パオロ・パゾリーニ
22. 「フレンチ・カンカン」ジャン・ルノワール
23. 「ミステリアス・ピカソ 天才の秘密」アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
24. 「モンパルナスの灯」ジャック・ベッケル
25. 「聖なる酔っぱらいの伝説」エルマンノ・オルミ
26. 「ボイス・オブ・ムーン」フェデリコ・フェリーニ
27. 「ファスビンダーのケレル」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
28. 「アリス」ヤン・シュヴァンクマイエル
29. 「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」ラッセ・ハルストレム
30. 「最初の人間」ジャンニ・アメリオ

セテラ・インターナショナル(3カ月・税込2480円)

01. 「あの頃エッフェル塔の下で アルノー・デプレシャン
02. 「ファウスト」アレクサンドル・ソクーロフ
03. 「コーヒーをめぐる冒険」ヤン・オーレ・ゲルスター
04. 「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」エマニュエル・ローラン
05. 「不機嫌なママにメルシィ!」ギヨーム・ガリエンヌ
06. 「あしたのパスタはアルデンテ」フェルザン・オズペテク
07. 「巴里祭 4Kデジタル・リマスター版」ルネ・クレール
08. 「リラの門 4Kデジタル・リマスター版」ルネ・クレール
09. 「危険な関係 4Kデジタル・リマスター版」ロジェ・ヴァディム
10. 「TOMORROW パーマネントライフを探して」メラニー・ロラン / シリル・ディオン
11. 「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」フレデリック・ワイズマン
12. 「セザンヌと過ごした時間」ダニエル・トンプソン
13. 「マーラー 君に捧げるアダージョ」パーシー・アドロン
14. 「夜ごとの美女 デジタル・リマスター版」ルネ・クレール
15. 「悪魔の美しさ デジタル・リマスター版」ルネ・クレール

ミモザフィルムズ(3カ月・税込2480円)

01. 「母の身終い」ステファヌ・ブリゼ
02. 「大いなる沈黙へ-グランド・シャルトルーズ修道院-」フィリップ・グレーニング
03. 「ザ・トライブ」ミロスラヴ・スラボシュピツキー
04. 「EDEN/エデン」ミア・ハンセン=ラヴ
05. 「アスファルト」サミュエル・ベンシェトリ
06. 「ホームレス ニューヨークと寝た男」トーマス・ヴィルテンゾーン
07. 「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」テレンス・デイヴィス
08. 「女の一生」ステファヌ・ブリゼ
09. 「修道士は沈黙する」ロベルト・アンドー
10. 「最初で最後のキス」イヴァン・コトロネーオ
11. 「ディヴァイン・ディーバ」レアンドラ・レアル
12. 「シシリアン・ゴースト・ストーリー」ファビオ・グラッサドニア / アントニオ・ピアッツァ

ムヴィオラ(3カ月・税込2480円)

01. 「世紀の光」アピチャッポン・ウィーラセタクン
02. 「光りの墓」アピチャッポン・ウィーラセタクン
03. 「鉄西区」3部作 ワン・ビン
04. 「《鳳鳴(フォンミン)-中国の記憶》」ワン・ビン
05. 「無言歌」ワン・ビン
06. 「三姉妹~雲南の子」ワン・ビン
07. 「収容病棟」前後編 ワン・ビン
08. 「苦い銭」ワン・ビン
09. 「郊遊(ピクニック)」ツァイ・ミンリャン
10. 「ラサへの歩き方~祈りの2400km」チャン・ヤン
11. 「草原の河」ソンタルジャ
12. 「すれ違いのダイアリーズ」ニティワット・タラートーン
13. 「祝福~オラとニコデムの家~」アンナ・ザメツカ
14. 「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
15. 「パプーシャの黒い瞳」ヨアンナ・コス=クラウゼ / クシシュトフ・クラウゼ
16. 「オレンジと太陽」ジム・ローチ
17. 「追憶と、踊りながら」ホン・カウ
18. 「もうひとりの息子」ロレーヌ・レヴィ
19. 「ヴィオレット-ある作家の肖像-」マルタン・プロヴォ
20. 「ルイ14世の死」アルベルト・セラ
21. 「わたしは、幸福(フェリシテ)」アラン・ゴミス

応援動画メッセージ参加者(五十音順)

アピチャッポン・ウィーラセタクン / アルノー・デプレシャン / アンソニー・チェン / イザベル・コイシェ / エリック・クー / ギヨーム・ガリエンヌ / ギヨーム・セネズ / ギョーム・ブラック / ガブリエーレ・マイネッティ / グー・シャオガン / クリスティアン・クレーネス / クリストファー・ドイル / シャリファ・アマニ / シャリファ・アリアナ / シャリファ・アリシャ / ジョルジュ・ガショ / 瀬々敬久 / ソンタルジャ / ツァイ・ミンリャン / 中村由紀子 Bunkamuraル・シネマ 番組編成) / 西澤彰弘(東京テアトル 映画興行部部長) / パーシー・アドロン / パク・ジョンボム / ハナ・マフマルバフ / バフマン・ゴバディ / ピーター・バラカン / ブリランテ・メンドーサ / フルーツ・チャン / フロリアン・ヴァイゲンザマー / マチュー・アマルリック / マルズィエ・メシュキニ / モフセン・マフマルバフ / ヨンジョンジャ / リティ・パン / ロベルト・アンドー / 吉澤周子(シネスイッチ銀座 編成担当) / LiLiCo / ワン・ビン

参加会社一覧(五十音順・2020年5月11日現在)

<配信メンバー>
彩プロ / アンプラグド / エスパース・サロウ / オンリー・ハーツ / クレストインターナショナル / ザジフィルムズ / サンリス / シンカ / セテラ・インターナショナル / ハーク / マジックアワー / ミモザフィルムズ / ムヴィオラ

<賛助メンバー>
キノローグ / サニーフィルム / チャイルド・フィルム / ドマ / ノンデライコ / パンドラ / ユナイテッドピープル

ステイトメント

新型コロナウィルスの影響で、日本全国の人々、そして事業者の誰もがかつてない難局を迎えています。それは映画業界も同様です。13の特定警戒都道府県では映画館の休館がさらに続き、緩和容認や解除となった34県でも休館を続けざるを得ない映画館があり、再開できても以前のような集客は不可能で、やがてくる「第二波」「第三波」も想定すると、映画界にとって「コロナの時代」は長くなると覚悟せざるを得ません。

このような状況の中で、小規模映画館<ミニシアター>を守るための「ミニシアター・エイド基金」や、日本映像職能連合(映職連)の政府への補償要望書の提出など、数々のアクションが始められましたが、私たち、独立系配給会社も、この難局を乗り越えるために何をすべきか模索してきました。

配給会社は、映画館や監督・俳優たちと違って、直接的に観客と触れ合うことの少ない、黒子の存在です。洋画の場合で言えば、まず映画を発見し、買い付けをし、日本全国の映画館に上映を依頼し、宣伝し、映画を公開し、DVD・VOD・テレビでも映画を見てもらえるように活動します。そして、大手配給会社と比べると、独立系配給会社は収益の多くを映画館収入から得ており、その映画館の多くは、小さくとも存在感のある全国のミニシアターです。また、アメリカ映画や邦画だけでなく世界中のさまざまな地域の映画を紹介している点も独立系の特色です。収益から製作者にお金を戻すことで、世界中の製作者の次の映画への一助ともなってきました。

映画館に観客が行けない今、独立系配給会社にはほとんど収入がありません。しかし、私たちがここで倒れては、ミニシアターに映画を届けることができなくなり、世界の映画人が日本の観客に映画を見てもらう機会が失われてしまいます。そして小さな会社といえど、私たちにも大切なスタッフがいて、字幕翻訳者、グラフィックデザイナー、予告編制作者、webデザイナー、パブリシスト、通訳など多くの仕事仲間がいるのです。もちろん、国や自治体の補償を訴えることも大切ですが、待っていては倒産する配給会社も出るでしょう。私たち自身の足で立って、歩かなければなりません。

私たちの財産は、映画しかありません。世界の多様な映画です。配信で、そうした多様な映画を見てもらうことで観客の力を借り、この難局を乗り越えたいと思うのです。配信は過去作に限り、あくまで新作は映画館で公開してミニシアター映画館の収益を確保しながら、過去作の配信によって少しでも経営を安定させ、映画館や仕事仲間達と築いてきたこの事業の継続を目指したいと考えています。
そしてこのプロジェクトによって、今まで見えにくかった「映画配給」という仕事を一般の方々にも知っていただき、各配給会社の個性も感じていただきながら、いま、世界中の国々が物理的な鎖国状況にある中で、映画で世界とつながることの価値を感じていただけたらと願っています。

2020年5月
「Help! The 映画配給会社プロジェクト」発起人:キノローグ、クレストインターナショナル、ザジフィルムズ、サニーフィルム、セテラ・インターナショナル、チャイルド・フィルム、ミモザフィルムズ、ムヴィオラ

映画ナタリー