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最終更新日:2020年03月04日 23:03

渡辺謙が「Fukushima 50」に出演した理由とは?佐藤浩市は心境の変化明かす

「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」の記者会見が本日3月4日に東京・日本外国特派員協会で行われ、キャストの佐藤浩市、渡辺謙、監督の若松節朗、本作の製作代表であり、KADOKAWAの取締役会長でもある角川歴彦が出席した。

「Fukushima 50」記者会見の様子。

佐藤浩市

東日本大震災発生時、高い放射線量のもと収束作業にあたり、世界中のメディアから“Fukushima 50”とたたえられた作業員たちの姿を描いた本作。佐藤が1・2号機の当直長・伊崎利夫、渡辺が所長の吉田昌郎を演じた。まず佐藤は「最初にオファーをいただいたとき、被災された方々の気持ちを考えれば映画化するのはまだ早いんじゃないかと思いました。でも福島での上映後、現地の人たちが監督に『ありがとうございました』と言っていたんです」と振り返り、「そのとき痛みを次の世代に語り継ぐためのぎりぎりのタイミングだったのではないかと思いました」と心境の変化を明かす。

渡辺謙

吉田を題材にした作品のオファーを過去にも受けたことがあるという渡辺。「事故を映像で再現するだけではお客さんに届かない。この作品では伊崎という男が中心にいて、吉田さんの姿はサイドストーリーとして描かれます。脚本を読んだとき、ヒューマンドラマになると思いました。そして佐藤浩市が伊崎を演じる。これは自分が出演するべき映画だと確信しました」と出演理由に言及した。そして「映画が公開というときに社会情勢がこういうことになりました。ある種の岐路に立たされたとき、国難に立ち向かわなければいけないとき、この映画が未来に向かうためのヒントになると思っています」と力強く続ける。

左から渡辺謙、佐藤浩市。

渡辺との共演について尋ねられた佐藤は「年齢もほぼ一緒。40年近く物作りをしているという信頼はありますね……こういう言い方だと薄っぺらいね」と照れた様子で語る。渡辺は過去の共演作「許されざる者」の撮影を振り返り「ハードな現場を一緒に乗り越えてきました。その当時、彼はそろそろ出演作が100本になるというときで、僕は『通行人でも出るよ』と言っていたんです。でもあっという間に100本を超えていましたね」と話し、会場の笑いを誘った。

「Fukushima 50」記者会見の様子。

イベント中盤には「政府や東京電力から圧力はなかったのか?」という質問が飛び出す場面も。若松は「僕のところには何も聞こえてこなかったです」と答え、「3月11日に東日本大震災の映像がテレビで流れることが少なくなってきたように思います。この映画が毎年放送されて、原発というものをみんなが考えるきっかけになれば」と思いを口にする。同じ質問に「そういう質問が出る映画だと思っていました」と笑うのは角川。「映画は真実を伝えることができる。出版人でありながら尊敬の念を持っています。この映画で真実に迫ることができたと思っています」と自信をのぞかせた。

「Fukushima 50」記者会見の様子。

世界73カ国で配給が決まっている「Fukushima 50」。最後に渡辺は「『Fukushima』というワードをネガティブに捉えている海外の方もいると思います。広島や長崎が平和の象徴になっているように、この映画をきっかけに福島がポジティブなワードとして広まってくれることを願っています」と期待を込め、佐藤は「災害は負の遺産でしかない。でも前向きに向き合うことで次の世代の遺産に変えることもできると思っています。この映画を観てそういうことを感じていただければ」と呼びかけ、イベントの幕を閉じた。

「Fukushima 50」は3月6日に全国で公開される。

(c)2020『Fukushima 50』製作委員会

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