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最終更新日:2020年02月14日 11:58

【アカデミー賞全受賞リスト】「パラサイト」最多4冠!ポン・ジュノが“師”に感謝

第92回アカデミー賞の授賞式が、日本時間2月10日にアメリカ・ロサンゼルスのドルビーシアターで行われた。

「パラサイト 半地下の家族」チーム。(Getty Images)

今年度最多受賞となったのは、非英語映画初の作品賞をはじめ監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4つに輝いた「パラサイト 半地下の家族」。作品賞が発表されるとソン・ガンホらキャストを含むチームの大勢がステージに上がる。プロデューサーのクァク・シンエイは「言葉が出てきません。想像もしなかったことが実現しました。うれしいです。今この瞬間、本当に意味のある、象徴的な歴史が作られていると思う」と喜びを語った。

「パラサイト」の4冠に次ぐ3つの賞に輝いたのは、録音賞、撮影賞、視覚効果賞に選ばれた「1917 命をかけた伝令」。撮影監督のロジャー・ディーキンスは、第90回の「ブレードランナー 2049」に続き、2度目の栄冠となった。そして「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「ジョーカー」「フォードvsフェラーリ」が2つの賞を得るという結果に。Netflixは、スタジオ別として最多の24ノミネートを誇っていたが、受賞したのは助演女優賞と長編ドキュメンタリー賞の2つという結果になった。

ポン・ジュノ(Getty Images)

「パラサイト」で監督賞を受賞したポン・ジュノが「英語の勉強をしていた頃『もっとも個人的なことはもっともクリエイティブなこと』だと本で読みました。マーティン・スコセッシの言葉です。私は彼の映画を観て勉強しました。一緒に監督賞の候補になっただけで光栄です」とスピーチすると、会場からスタンディングオベーションが。さらにポン・ジュノは、ほかの候補者に向けても「ほかのアメリカ人が私の映画を知らなかった頃、いつも好きな映画としてリストに挙げてくれていたクエンティン・タランティーノ。本当に愛しています。一緒に候補になったトッド・フィリップス、サム・メンデスも尊敬する素晴らしい監督です。アカデミー協会が認めてくれるなら、テキサス・チェーンソーでオスカー像を5つに分けたい」とコメントし、「これから明日の朝まで、飲み続けます!」と締めくくった。

ホアキン・フェニックス(Getty Images)

主演男優賞に輝いたのは、自身初受賞となる「ジョーカー」のホアキン・フェニックス。スピーチでは「素晴らしい経験ができました。これは、声なき者に声を上げることができる機会です。現代には男女の平等、先住民の平等、ジェンダーなどさまざまな問題があります」と訴えかけたあと、「私の兄はこのように言いました。『お互いに協力すること、愛情と協力する心を持って人を助けましょう』と」と亡き兄リヴァー・フェニックスの言葉を引用した。

レニー・ゼルウィガー(Getty Images)

主演女優賞は、「ジュディ 虹の彼方に」のレニー・ゼルウィガーが初受賞した。本作はミュージカル女優ジュディ・ガーランドの人生を描いていることから、ゼルウィガーは「ジュディ・ガーランドはこのような栄誉に輝くことはありませんでしたが、この瞬間、彼女を祝福することができていると思います。ジュディ・ガーランド、あなたは私のヒーローです。私たちを団結させてくれました。この賞はあなたに捧げます」と述べた。

ブラッド・ピット(Getty Images)

助演男優賞を受賞したのは、演技賞は自身初となる「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のブラッド・ピット。名前を呼ばれると、同作で共演したレオナルド・ディカプリオと抱擁を交わしてからステージに上がり「この最強の映画に感謝します。クエンティン・タランティーノ、オリジナルでユニークな監督です。あなたがいなかったら映画界は違うものになったでしょう。人の一番いいところを引き出す監督です、最悪を想定しながらね。レオ、君の後ろを歩いていて本当に幸せでした」「多くの人にいろんなチャンスをもらってここに立っています。まさにこの映画の物語、そのままです」と話した。

ローラ・ダーン(Getty Images)

助演女優賞に選ばれた「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーンは「『ヒーローに会うことはない』と言う方もいます。そんな中で親がヒーローであるということは、とても恵まれていると思う。私はこの賞を、俳優としてのヒーロー、そしてレジェンドであるダイアン・ラッドとブルース・ダーンと共有します」と、両親に言葉を贈る。また2月10日は彼女の53歳の誕生日であることから「誕生日にこんなに素晴らしいプレゼントをいただけるとは」と初受賞の喜びを語った。

カズ・ヒロ(中央 / Getty Images)

メイクアップ&ヘアスタイリング賞には、日本出身のカズ・ヒロ(辻一弘)が特殊メイクとして参加した「スキャンダル」が選ばれた。カズ・ヒロは「シャーリーズ・セロン、あなたは素晴らしい俳優でもあり、プロデューサーでもあります。思いやりと愛情を持って、このプロジェクトを進めてくれました。あなたなしでは受賞できなかったはず!」と感謝を伝える。カズ・ヒロは、第90回の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」以来2度目の受賞となった。

脚色賞を受賞したのは、「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ。マオリ族の父を持つワイティティは「先住民の子供たちにこの賞を捧げます。アートをやりたい、ダンスをやりたい、物語を書きたいと思っている子供たちに」とメッセージを残した。

エルトン・ジョン(Getty Images)

歌曲賞は、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンによる「ロケットマン」の「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」が受賞。ジョンは、ともにステージに上がった作詞家のトーピンへ「バーニーありがとう。常に私と一緒に活躍してくれた。私が何者でもなかった頃から、支えてくれました」と感謝を伝える。またジョンは、授賞式で同曲を生披露して会場を盛り上げた。

ビリー・アイリッシュ(Getty Images)
「イントゥ・ジ・アンノウン」パフォーマンスの様子。(Getty Images)

さらに授賞式では、ビリー・アイリッシュがザ・ビートルズの「イエスタデイ」を歌唱。追悼企画として、曲中は死去した映画人たちの写真がスクリーンに映し出された。また歌曲賞にノミネートされていた「アナと雪の女王2」の楽曲「イントゥ・ジ・アンノウン」を、イディナ・メンゼルと世界9カ国のエルサ役がパフォーマンスする場面も。日本からは松たか子が参加した。そのほかジャネール・モネイやシンシア・エリヴォらによる生歌唱も。プレゼンターのジェームズ・コーデンとレベル・ウィルソンが、出演作「キャッツ」を意識した猫の着ぐるみ衣装で登場して沸かす一幕もあった。

なお授賞式の模様は、WOWOWプライムで本日21時から字幕版が放送される。

第92回アカデミー賞受賞結果

※★印が受賞者、受賞作品

作品賞

「フォードvsフェラーリ」
「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「ジョーカー」
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
「マリッジ・ストーリー」
「1917 命をかけた伝令」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
★「パラサイト 半地下の家族」

主演男優賞

アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー」
レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アダム・ドライバー「マリッジ・ストーリー」
★ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
ジョナサン・プライス「2人のローマ教皇」

主演女優賞

シンシア・エリヴォ「ハリエット」
スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
シアーシャ・ローナン「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
シャーリーズ・セロン「スキャンダル」
★レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」

助演男優賞

トム・ハンクス「A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)」
アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」
アル・パチーノ「アイリッシュマン」
ジョー・ペシ「アイリッシュマン」
★ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

助演女優賞

キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」
★ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
マーゴット・ロビー「スキャンダル」

長編アニメーション賞

「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」
「失くした体」
「クロース」
「Missing Link(原題)」
★「トイ・ストーリー4」

撮影賞

ロドリゴ・プリエト「アイリッシュマン」
ローレンス・シャー「ジョーカー」
ジェアリン・ブラシュケ「The Lighthouse(原題)」
★ロジャー・ディーキンス「1917 命をかけた伝令」
ロバート・リチャードソン「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

衣装デザイン賞

「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「ジョーカー」
★「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

監督賞

マーティン・スコセッシ「アイリッシュマン」
トッド・フィリップス「ジョーカー」
サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
★ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」

長編ドキュメンタリー賞

★「アメリカン・ファクトリー」
「The Cave(原題)」
「ブラジル -消えゆく民主主義-」
「娘は戦場で生まれた」
「ハニーランド 永遠の谷」

短編ドキュメンタリー賞

「In the Absence(原題)」
★「Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl) (原題)」
「眠りに生きる子供たち」
「St. Louis Superman(原題)」
「Walk Run Cha-Cha(原題)」

編集賞

★「フォードvsフェラーリ」
「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「ジョーカー」
「パラサイト 半地下の家族」

国際長編映画賞

「Corpus Christi(英題)」(ポーランド)
「ハニーランド 永遠の谷」(北マケドニア)
「レ・ミゼラブル」(フランス)
「ペイン・アンド・グローリー」(スペイン)
★「パラサイト 半地下の家族」(韓国)

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

★「スキャンダル」
「ジョーカー」
「ジュディ 虹の彼方に」
「マレフィセント2」
「1917 命をかけた伝令」

作曲賞

★ヒルドゥル・グーナドッティル「ジョーカー」
アレクサンドル・デスプラ「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
ランディ・ニューマン「マリッジ・ストーリー」
トーマス・ニューマン「1917 命をかけた伝令」
ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

歌曲賞

「君のため」(「トイ・ストーリー4」)
★「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」(「ロケットマン」)
「I’m Standing with You」(「Breakthrough(原題)」)
「イントゥ・ジ・アンノウン」(「アナと雪の女王2」)
「スタンド・アップ」(「ハリエット」)

美術賞

「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「1917 命をかけた伝令」
★「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
「パラサイト 半地下の家族」

短編アニメーション賞

「Daughter(英題)」
★「Hair Love(原題)」
「Kitbull(原題)」
「Memorable(原題)」
「Sister(原題)」

短編実写映画賞

「兄弟愛」
「Nefta Football Club(原題)」
★「向かいの窓」
「Saria(原題)」
「A Sister(英題)」

音響編集賞

★「フォードvsフェラーリ」
「ジョーカー」
「1917 命をかけた伝令」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

録音賞

「アド・アストラ」
「フォードvsフェラーリ」
「ジョーカー」
★「1917 命をかけた伝令」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

視覚効果賞

「アベンジャーズ/エンドゲーム」
「アイリッシュマン」
「ライオン・キング」
★「1917 命をかけた伝令」
「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

脚色賞

スティーヴン・ザイリアン「アイリッシュマン」
★タイカ・ワイティティ「ジョジョ・ラビット」
トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー「ジョーカー」
グレタ・ガーウィグ「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
アンソニー・マクカーテン「2人のローマ教皇」

脚本賞

ライアン・ジョンソン「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」
ノア・バームバック「マリッジ・ストーリー」
サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ「1917 命をかけた伝令」
クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
★ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン「パラサイト 半地下の家族」

※記事初出時、一部受賞結果に誤りがありました。お詫びして訂正します。

映画ナタリー